工学基礎科目

〜 物性論 I 〜

物性論の目的は、物質、特に固体の持つ様々な性質(電気的性質、磁気的性質、等々)の起源を解析するとともに、より高度な機能を発現させるための物質設計指針を得ることにある。本講義では波数空間やバンド構造といった物性論の基礎概念を実空間の化学結合と対応させて理解し、それらが我々の知る身近な物性とどのように関わっているかを概説する。

1. 物性論序論
2. 物性論のための量子力学
 2-1 量子力学の基本概念
 2-2 外殻電子と化学結合
 2-3 固体の近似法
3. 化学結合と電子バンド構造
4. 固体の電子状態と物性
 4-1 金属の電子状態
 4-2 絶縁体の電子状態とエネルギーバンド理論
5. エネルギーバンドと物性
 5-1 半導体におけるキャリアドープ
 5-2 金属、半導体、絶縁体の電気伝導

〜 化学工学 I 〜

化学工学を構成するいくつかの学問のうち、移動速度論(Transport Phenomena = 輸送現象論とも呼ばれる)は、物質・熱・運動量の輸送に関する最も基本的な学問である.物質・熱・運動量の輸送(物質については反応を含む)に関する工学的扱いの根底の考え方・方法論を学ぶことで、工学者としてのセンスを涵養してほしい.

1. 化学工学の意義と体系
2. 物質・熱・運動量の扱い方(流束(フラックス)と収支)
3. 定常状態と非定常状態での扱い方
4. 流れを伴う移動過程
5. 反応を伴う移動過程

〜 化学工学 II 〜

化学工学は、化学プロセスをシステムとして捉えることにより、プロセスの合理的な合成・設計・建設・運転を実現させた学問である。今日その適用範囲は、地球環境、エネルギー、機能材料、バイオテクノロジー分野にも拡大している。化学工学IIにおいては、化学工学Iで既習の移動速度論以外の単位操作、反応工学、およびエネルギー・プロセスに関する講義を行う。

1. 化学工学とその基礎
1.1 化学工学の目的と体系
1.2 物質収支とエネルギー収支

2. 化学反応操作
2.1 反応器設計の基礎
2.2 反応器の操作と反応速度解析

3. 物質の分離
3.1 物質の分離の原理と方法
3.2 分離操作

4. 流体からの粒子の分離
4.1. 粒子分散系の分類と粒子の物性
4.2. 単一粒子の運動
4.3. 流体からの粒子の分離

5. エネルギーの流れと有効利用
5.1. エネルギーの種類と性質
5.2. エネルギー利用の熱力学
5.3. 伝熱の基礎

〜 計測通論B 〜

計測は、科学・工学の基本です。現象を科学的に理解するにはまず現象を計測する必要があります。また身近な電気製品からロボットまで、あらゆる自動機械はセンサによる計測値をもとに動いています。医療診断や製造の現場、地球規模の通信網まで、情報をそれらのシステムへ取り込む入り口は計測です。さらに複雑な信号パターンから必要な情報を抽出する方法を探究することは知能の正体を探索することにも通じています。本講義では、計測の実例を紹介しながら、計測に共通する概念や手法について整理します。

・計測とは
・単位・誤差
・計測法の基礎
・機械式センサを用いた計測
・電気式センサを用いた計測
・音波・電波・光を用いた計測
・神経インタフェースデバイス
・半導体センサ・MEMS・microTAS
・パターン計測
・時系列信号・信号処理

〜 電気工学大要第一 〜

本講義では、半導体物性・デバイスの基礎となる固体物理学と熱力学について、基礎的な事項を省略せず、かつできるだけ平易に解説する.とくに、化学の立場から半導体の正しい理解を得るためのガイドとなるよう心掛ける.さらに、これらの理解に基づき、発光ダイオード、太陽電池、半導体光触媒などの動作原理を解説する.

1 エネルギー有効利用のための半導体デバイス概論
2 固体中の電子の軌道
3 固体中の電子の動き
4 半導体中の電子の統計力学・熱力学
5 異種半導体の界面(pn接合・ショットキー接合・半導体ヘテロ接合)
6 半導体における擬フェルミエネルギーと仕事
7 半導体デバイスの基礎物理(ダイオード・バイポーラトランジスタ・MOSFET)
8 太陽電池の動作原理と効率限界
9 半導体光触媒(太陽光からの化学燃料生成)

〜 数学1E 〜

工学全分野で必要不可欠な道具である、常微分方程式、ベクトル解析、変分法について学ぶ。 実践的な理解を目指す。

(1) 常微分方程式
1-1 微分、テーラー展開
1-2 変数分離、常数変化法
1-3 定数係数線形常微分方程式、行列を用いた解法
1-4 完全微分
1-5 解の存在
1-6 解の安定性
(2) ベクトル解析
2-1 曲線、曲面
2-2 線積分、面積分
2-3 grad, rot, div
2-4 ガウス、ストークスの定理
(3) 変分法
3-1 汎関数とは、積分汎関数
3-2 変分とオイラー方程式
3-3 オイラー方程式の一般化
3-4 変分法の応用

〜 数学2F 〜

工学全分野に必要不可欠な道具である, 複素関数論, フーリエ解析, 偏微分方程式の基礎を学ぶ.

複素解析論
1.複素数と複素平面
2.複素関数
3.複素関数の微分
4.複素積分

フーリエ解析
1.フーリエ級数
2.フーリエ変換
3.ラプラス変換

〜 統計解析 〜

科学・工学の基礎は対象の理解にある。その意味で、計測・分析とデータ処理は、科学的アプローチの基礎技術と言える。計測・分析は対象の実態を把握するための基礎技術であり、データ処理は計測・分析によって得られたデータから対象に対して知るべき有効な情報を得るための基礎技術だからである。本科目は、科学・工学に共通の第二の基礎技術といえる統計的データ解析法について、統計学の専門家としてではなく、統計学のユーザとして知っておくべき基礎的概念、方法論、手法を習得することを目的とする。

1 データの整理
2 推測統計学の考え方
  統計的推測の枠組み、検定と推定の考え方
3 正規分布に関する推測
  正規分布、母平均に関する検定・推定、
  母分散に関する検定・推定
4 分散分析
  一元配置実験データの解析、
  二元配置実験とそのデータ解析
5 統計的データ解析の適用
  「統計解析」のユーザとしての心得、
  統計的データ解析のコツ

〜 Introductory lectures for chemistry and biotechnology 〜

化学と生命工学の基礎について英語で講義をおこなう。 当該科目を英語で理解し、議論するためのスキルを身につけることを目的とする。
The purpose of the class is to attain ability to discuss chemistry and biotechnology in English.

〜 ケミカル・バイオ・インダストリー 〜

本講義は、実生産分野における化学およびバイオテクノロジーの役割を学ぶことを目的とする ・日本の一次エネルギーの半分を占める石油について理解を深めると共に、将来のエネルギーについて考える。 ・高分子の応用分野として分離膜を挙げ、素材としての変遷や課題を通して、高分子の構造(分子構造、高次構造)の重要性を学ぶ ・医薬品の研究開発において、何がボトルネックとなっているか、また生命科学に何が期待されているかを概説する。

〜 化学反応論 I 〜

化学反応速度論とは、化学反応の速度を取り扱う物理化学の一分野である。化学反応速度論の目的は、化学反応の速度を解析し、その速度が反応の種類や条件(温度や圧力などの変数)によって異なるのはなぜか、を理解することにある。それらを理解することにより、制御可能な条件を適切に選択することにより、目的生成物の生成速度や収率を最大にすることができる。また、化学反応速度の解析により、反応機構も理解することができる。

<1 化学反応速度論の基礎>
1.1 化学反応速度論とは
1.2 化学反応速度の実験的な測定法
1.3 反応系の熱力学
1.4 速度式・速度定数・反応次数
1.5 積分型速度式
1.6 速度式の実験的な求め方
1.7 可逆反応
1.8 反応速度の温度依存性(アレニウス式)

<2 素反応の理解と複合反応>
2.1 素反応
2.2 並列(平行)反応
2.3 逐次反応
2.4 定常状態近似と律速過程
2.5 前駆平衡のある反応
2.6 複雑な反応
2.7 複合反応の温度依存性
2.8 速度論支配と平衡論支配

<3 同位体を用いた反応機構の解析>
3.1 速度論的同位体効果とは
3.2 調和振動子の固有エネルギー
3.3 同位体標識反応
3.4 1次速度論的同位体効果
3.5 2次速度論的同位体効果
3.6 同位体トレーサー法

〜 化学反応論 II 〜

本講義は化学反応論Iで学んだことを基礎にして、化学反応がどのように進むのかという、より本質的な部分について学ぶ。さらにより複雑な反応である固体表面での化学反応、不均一系触媒反応、表面化学について知見を得ることを目的とする。

1.固体表面の過程
 1.1 吸着
      物理吸着と化学吸着
      吸着等温式
 1.2 表面における触媒作用
      吸着と触媒作用
      触媒作用の例

2.反応の分子動力学
 2.1 反応性の出会い
      衝突理論
      拡散律速の反応
      物質収支の式
 2.2 活性錯合体理論
      反応座標と遷移状態
      熱力学的な見方
 2.3 分子衝突の動力学
      反応性の衝突
      ポテンシャルエネルギー面
 2.4 均一系における電子移動
      電子移動過程の速度
      電子移動過程の理論と実験

〜 分離工学 I 〜

分離工学は、混合物を分離する技術の学問体系であり、環境・エネルギー・安全安心といった各分野で非常に重要なキーテクノロジーである。本講義では、ガス吸収・蒸留・抽出・固液分離・気固分離・晶析の各単位操作の物理化学的原理を理解し、定量的に装置設計が可能になることを目標とし、講義の中では、具体的なプロセスを紹介するように努めている。

①分離プロセス概論
②ガス吸収Ⅰ “吸収の物理化学”
③ガス吸収Ⅱ “吸収塔の設計”
④蒸留Ⅰ “蒸留の物理化学”
⑤蒸留Ⅱ “蒸留塔の設計”
⑥抽出Ⅰ “抽出の物理化学”
⑦抽出Ⅱ “抽出装置の設計”
⑧固液分離Ⅰ “粒子の運動と沈降濃縮”
⑨固液分離Ⅱ “遠心分離”と“ろ過”
⑩気固分離
⑪晶析 “晶析の物理化学と晶析装置の設計”
⑫乾燥 “乾燥の物理化学と乾燥装置の設計”

〜 構造解析法 〜

本講義では無機物質、有機物質の構造や性質を知る上で重要な汎用性のある機器分析法について学ぶことを目的にする。ここではどのような物質に対してどのような分析法が有効であり、またその実測データをどのような方法で解析すれば有効な化学情報が得られるかについて、演習を通して実際の解析法を演習を通して習得する。X線構造解析に関しては、原理の習得を目的とする。

1.  総論・1H NMR (1)
2.  1H NMR (2)
3.  13C NMR(dept含む)および多核などの1次元NMR
4.  二次元NMR(1)
5.  二次元NMR(2)
6.  赤外・紫外可視・蛍光・その他分光解析
7. 質量分析(1)
8. 質量分析(2)
9. 結晶構造解析
10.  構造解析演習

〜 コンピュータ及び演習 〜

数値計算の基本的な手法を習得するため、プログラミングの基礎を学び、プログラムを実際に作成して、 数値計算の演習を行う。プログラミング言語としては基本的にFORTRANを用いるが、Pythonを用いてもよい。

I.プログラミングの基礎
1.プログラムの作成と実行
2.変数の型、入出力、数式と関数
3.判断と飛び越し
4.繰り返し
5.配列
6.副プログラム
7.プログラミングのまとめと数値計算の基礎

II.数値計算
8.方程式の解法
9.連立一次方程式
10.補間法と近似
11.常微分方程式の数値解法
12.数値積分法

〜 化学工学及び演習 I 〜

具体的な演習を通じて、化学工学についての理解を深めることを目的とする。本講義では移動速度論と反応工学を対象とする。

1. Steady-state
2. Non steady-state
3. Fluid flow in circular pipes
4. Transport with fluid flow and reaction
5. Simultaneous transport of mass and heat
6. Equilibrium conversion, POLYMATH
7. Fogler method, CSTR, PFR reactors
8. Mole balance method, graphical method
9. Reactors in series and parallel
10. Reactors with pressure drop

〜 化学・生命研究倫理 〜

科学技術の高度な発展により、研究者・技術者としての高い倫理観が求められています。本講義では、化学・生命系の専門教育を学ぶ学部生を対象として、実験科学に必要な倫理的な問題を認識し、どのように対処すべきかを一緒に考えることを主眼としています。

〜 化学生命工学最前線 〜

化学生命工学科各研究室の研究内容をオムニバス形式で紹介する。



講義詳細