講義|化学基礎・専門科目

〜 有機化学 I 〜

有機化学とは,多様な有機化合物,有機化学反応を対象とし,それらを体系的に整理して理解することを目的とした学問分野である。本講義では,有機化学反応を学ぶ上での基礎となる共鳴,酸塩基,立体化学といった基礎的事項,ならびに有機化合物の構造決定に有用な分光法,特にプロトンNMRの基礎について知ることを目的とする。

1. 有機化合物の構造
2. 分光法による有機化合物の構造決定
3. 分子構造と分子軌道
4. 非局在化と共役
5. 酸と塩基
6. 立体化学

〜 有機化学 II 〜

有機化学Iと共に,有機化学の基本となる官能基変換反応,炭素-炭素結合反応などを理解し,多くの有機反応が統一的に整理できることを学習する。

1 求核付加反応 Grignard反応,還元,Wittig反応,アセタール化,イミンの生成,アルドール反応,Michael反応など
2 求核置換反応 SN1反応, SN2,反応,SNi反応,中間体,遷移状態,活性化エネルギー, Williamsonエーテル合成,Gabriel反応など
3 脱離反応 E1反応,E2反応,E1cB反応,Anti脱理, Zaitsev則など
4 求核付加脱離反応 加水分解,アルコール・アミンとの反応,有機金属試薬との反応,還元,Claisen縮合
5 求電子付加反応 ハロゲンの付加,ハロゲン酸の付加,水の付加,ヒドロホウ素化反応, 四酸化オスニウム酸化,過マンガン酸カリウム酸化,Markovnikov則など
6 転位反応 Wagner-Meerwein転位,ピナコール転位,カルボカチオンの安定性など

〜 有機化学 III 〜

有機化学に関する基礎的な事項を概説する。有機化学IIに続き、有機化学反応の基礎を学ぶ。

1.芳香族求電子置換反応 (Electrophilic aromatic substitution)
2.共役付加と芳香族求核置換反応 (Conjugate addition and nucleophilic aromatic substitution)
3.エノラートの反応 (Reactions of enolates)
4.ペリ環状反応 (Pericyclic reactions)
5.隣接基関与、転位反応、開裂反応 (Participation, rearrangement and fragmentation)
6.典型元素化学 (Sulfur, silicon and phosphorus in organic chemistry)
7.有機金属化学(Organometallic chemistry)

〜 有機化学 IV 〜

本講義では、官能基選択性、立体化学制御など物質合成に必要な有機化学を体系的に学ぶ。また、生体分子の構造に多く含まれるヘテロ環化合物・複素環化合物に対する有機化学的理解を深める。

・官能基選択性
・逆合成解析
・立体化学制御、立体選択的反応、ジアステレオ選択性
・ヘテロ環化合物
・(生命の化学)

〜 高分子化学 I 〜

高分子化合物は、身のまわりの様々な材料に利用されている重要な物質である。本講義では、高分子化合物に関する研究の歴史、基本的性質を序論で解説し、合成法に関して、反応種別に体系的な教育を行う。

1 合成高分子と天然高分子
2 高分子化学の歴史
3 高分子化合物の特徴(分子量、立体規則性、共重合シークエンス、高次構造)
4 縮合重合
5 付加重合(ラジカル的/イオン的)
6 共重合:モノマーの構造と反応性
7 重合反応の立体化学
8 開環重合
9 その他の重合反応
10 特殊な高分子化合物

〜 高分子化学 II 〜

本講義は高分子の特徴を,構造・物性・機能およびそれらの相関関係の面から理解することを目的とする.合成を中心とした高分子化学Iと共に学ぶことで高分子の全体像を理解できる.授業においては,まず,一次元構造が基本である高分子の分子鎖の特徴的な形態と,液体・固体・液晶・ゲルなどの状態における集合構造,その解析方法について学ぶ.次に,高分子の電気的・光学的・熱的・機械的な性質・機能・応用について,構造との相関を考えながら学んでいく.導電性・耐熱性・高強度・生体機能などを有する材料としての観点からも高分子を理解する.

1 高分子の特徴と分類
2 高分子鎖のコンホメーション
3 高分子液体
4 高分子の固体構造と熱特性
5 高分子液晶
6 高分子ゲル
7 高分子の電気的性質
8 高分子の光物性と光機能
9 高分子の機械的性質
10 高分子の生体機能

〜 分子集合体化学 〜

本講義では、分子の自己集合体(ミセル・ベシクル・二分子膜・液晶・ホストーゲスト複合体・多孔性金属錯体・電荷移動錯体など)を例に、その構造体形成の鍵となる分子間相互作用を解説し、分子構造と集合体の構造・機能との関わりを理解する。

1. 分子集合体の分類と分子間相互作用
2. 溶液中におけるホストーゲスト複合体の形成と機能
3. 液晶の形成と機能
4. ミセル・ベシクル・二分子膜の形成と機能
5. 有機結晶の反応(1)結晶についての概論
6. 有機結晶の反応(2)光、熱、ラジカル反応
7. 有機結晶の物性(1)電気的性質、磁性など
8. 有機結晶の物性(2)多孔性材料など

〜 分析化学 I 〜

この講義の過半は溶液化学(化学平衡と化学量論が主体)に傾注する。また、溶液化学と関連の深いイムノアッセイやバイオセンサー、クロマトグラフィー・電気泳動などの高度な分析法についてもあわせて学ぶ。

1)溶液化学
・酸塩基反応と中和滴定
・錯形成反応とキレート滴定
・酸化還元反応と滴定
・沈殿平衡とイオン交換平衡
・液液分配平衡と溶媒抽出
2)生化学分析
・抗原抗体反応とイムノアッセイ
・酵素反応とバイオセンサー
3)クロマトグラフィーと流れ分析
・分離の原理と分類
・段理論と速度論
・ガスクロマトグラフィー
・液体クロマトグラフィー
・フローインジェクション分析
4)電気泳動
・分離の原理
・ゲル電気泳動
・キャピラリー電気泳動
5)分析値の取り扱い
・統計量
・有意差検定
・検量線
・定量限界、検出限界

〜 分析化学 II 〜

本講義では、分光計測法を主体とした機器分析法について、原理と適用法を解説する。分光分析法では特に測定原理が重要で、エネルギー準位とスペクトル項、選択則と遷移などに関する理解を深め、原子、分子、固体の化学情報をいかに引き出すかに重きを置く。個々の測定法については、実験と演習に密接に関連させながら講義を進める。

1)分光化学基礎
・球面調和関数と原子軌道
・エネルギー準位とスペクトル項
・遷移とスペクトル
2)分光測定基礎
・ランバート=ベール則
・分光装置
3)原子分光法
・原子吸光
・原子発光・誘導結合プラズマ発光
・ゼーマン効果
4)X線分光分析法
・X線吸収分光 (XAFS)
・蛍光X線分光
・X線回折
5)分子分光法
・分子の構造とエネルギー構造
・フランク=コンドン原理
・吸光法と蛍光法
・赤外分光法とラマン分光法
6)電子分光分析法
・光電子過程とAuger過程
・X線光電子分光法
・Auger分光法
7)構造解析法基礎
・核磁気共鳴法
・質量分析法

〜 物理化学 I 〜

物理化学は、熱力学、量子化学、統計力学、分光学などを幅広い分野をカバーする学問であり、特に、物質の電子構造、化学反応や物質の相変化を理解する上で欠かすことができない。本講義では、化学平衡や自発変化の方向を記述するエネルギー、エンタルピー、エントロピー、ギブスエネルギー、化学ポテンシャルといった基本概念を講義する。講義を通じて、エネルギー変換を扱う科学としての熱力学を理解することが本講義の目的である。

(1)気体の性質
                完全気体、気体運動論とマクスウェルーボルツマン分布、実在気体、ファンデアワールスの状態方程式
(2)熱力学第一法則
                エネルギー、熱、仕事、熱化学とエンタルピー(化学反応、物理変化)、状態関数と完全微分、ジュールトムソン効果
(3)熱力学第二法則と第三法則
                エントロピー、ヘルムホルツエネルギーとギブス自由エネルギー、自発変化の方向、第一法則と第二法則の融合
(4)純物質の物理的変態
                純物質の相図、ギブスの相律、相転移、相の安定性と化学ポテンシャル、相境界とクラペイロンの式、クラウジウス・クラペイロンの式
(5)単純な混合物
                混合物の熱力学的記述、ギブスヂュエムの式、理想溶液、正則溶液、2成分系の相図、活量
(6)化学平衡
                化学平衡の熱力学、平衡定数、反応条件と化学平衡

〜 物理化学 II 〜

本講義では(1)分子の基本的な運動と性質の理解、(2)マクロな物性との関係の理解、(3)熱力学関数などの基礎的な量の簡単な計算ができることを到達目標とする。

第1部:分子構造と分光学
1. 分子の光吸収と光放出
1.1 ベール-ランベルトの法則
1.2 波長領域と分子運動
2. 二原子分子の振動
2.1 調和振動子近似
2.2 赤外振動遷移
2.3 振動ラマン散乱
3. 二原子分子の回転
3.1 剛体回転子近似
3.2 純回転遷移
3.3 回転ラマン散乱
4. 多原子分子の振動と回転
4.1 多原子分子の振動
4.2 多原子分子の回転
5. 電子遷移
5.1 電子スピン
5.2 電子軌道角運動量

第2部:統計熱力学
6. 熱平衡状態
6.1 微視的平衡
6.2 巨視的平衡
7. 統計力学の方法論
7.1 分配関数
7.2 最優勢配置
8. 熱力学関数と分配関数
8.1 概念
8.2 内部エネルギー・熱容量
8.3 エントロピー

第3部:分子間相互作用
9. 分子の極性
9.1 ミクロな極性
9.2 マクロな物性
10. 分子間力
10.1 双極子相互作用
10.2 相互作用ポテンシャル

〜 物理化学 III 〜

熱力学の基礎と溶液の熱力学を復習後、化学平衡から電気化学まで学修し、実際の物理化学現象を理解する力を身につける。

1.熱力学の基礎(復習、演習)
 1.1 熱力学の諸法則と関係式
 1.2 自由エネルギー
 1.3 化学ポテンシャル
 1.4 溶液の熱力学
2.相図
 2.1 純物質の相平衡
 2.2 多成分系の相平衡
 2.3 相律
 2.4 各種の相図
3.化学平衡
 3.1 平衡定数
 3.2 圧力の影響
 3.3 温度の影響
4.電気化学
 4.1 酸化還元反応と半反応
 4.2 電池と起電力
 4.3 ネルンストの式
 4.4 標準電位と平衡定数
 4.5 イオンの輸送
 4.6 電気二重層
 4.7 電気化学反応と物質輸送
 4.8 光電気化学反応

〜 量子化学 I 〜

原子や分子の成り立ち、化学結合論を理解するには量子力学を少し学ぶ必要がある。量子力学はミクロな世界の法則であり、私たちのマクロな感覚にはなじみにくい面がある。しかしその面がそのまま化学現象に顔を出してくる。量子論の学ぶ面白さもそこにある。化学向けの量子力学入門について解説する。

1 量子力学入門
1.1 量子力学の起源
1.2 微視的な系の力学
1.3 量子力学の原理

2 量子論:手法と応用
2.1 並進運動の量子化
2.2 振動運動の量子化
2.3 回転運動の量子化

3 原子構造
3.1 水素型原子の構造とスぺクトル
3.2 原子軌道とそのエネルギー
3.3 多電子原子の構造

〜 量子化学 II 〜

ミクロの世界の法則がいろいろな化学現象に顔を出している。本講義では分子軌道法の基礎を学習する。分子軌道法の概念を理解すると、分子のいろいろな性質や化学反応が理解できるばかりでなく、それらの性質を実験で調べる代わりに、コンピュータで計算できるようにもなる。分子軌道法を理解することで、びっくりするほど明るく遠く眺望が開けてくる。また、蛋白質、生体超分子のような複雑に見える分子の機能も、他の分子と同様、分子構造から理解できる。

1、量子力学・原子の電子状態の復習
2、2中心1電子(H2+, HeH2+, ...)系
3、水素分子(H2)
4、等核2原子分子
5、異核2原子分子
6、多原子分子
7、定性的MO法
8、量子化学計算に向けて

〜 無機化学 I 〜

本講義は無機化学の入門コースであり、無機化学の全般を俯瞰的に理解し、アドバンストな講義(無機化学Ⅱ、Ⅲ等)の学修のための基礎力を養うことを目的とする。前半では無機化学全般の基礎となる原子~結晶の構造や、性質の周期性などを学び、後半は酸化還元等の物性について系統的に学ぶ。

1.原子構造と周期律
2.分子の構造
3.固体(結晶)の構造
4.酸・塩基
5.酸化・還元
6.水素化合物

〜 無機化学 II 〜

金属イオン(あるいは原子)が様々な配位子と結合することにより形成された化合物、すなわち金属錯体は、様々な機能を有する分子として生命活動から工業的な物質生産にまで深く関わっている。金属錯体の様々な性質や機能に焦点を当て、これらの事象を理解するための原理・考え方を学び、化学における他の領域(物理化学・有機化学・生化学・分析化学等)との関連についての理解を深める。

1. 錯体化学
・身の回りの錯体化学
・ウェルナー型錯体、錯体化学の歴史
・金属錯体の電子状態(結晶場理論、配位子場理論、光吸収、磁性)
・金属錯体の反応(結晶場安定化エネルギー、アービング-ウィリアムズの安定化系列、ヤーンテラー効果、キレート効果)

2. 有機金属化学
・有機金属錯体の概要(ウェルナー型錯体と有機金属錯体)
・様々な有機金属錯体と18電子則
・有機金属錯体の反応(酸化的付加と還元的脱離)
・触媒としての有機金属錯体

3. 生物無機化学
・金属イオンの生物学的機能
・金属タンパク質と金属酵素

〜 有機・高分子演習 〜

本講義は、有機化学I~IV、高分子化学I、IIの内容を踏まえ、基礎から応用にわたって系統的に演習を行うことにより、有機化学、高分子化学に関連する実践的な知識を身に付けることを目的とする。

1 有機合成反応の実際(演習)
2 高分子合成反応の実際(演習)
3 高分子物性の実際(演習)



講義詳細