研究室紹介

酒井研究室

  • 工学部

  • 大学院工学系研究科
研究分野
精密ゲル科学
キーワード
ゲル、ソフトマター物理、バイオマテリアル
URL
https://gel.tokyo/tetra-gel/

MEMBERS

  • 酒井 崇匡 教授 Takamasa Sakai
    • 03-5841-6947

    • Photo: Courtesy of JSTnews
  • 土屋 康佑 准教授 Kousuke Tsuchiya
    • 03-5841-1899
  • 作道 直幸 特任准教授 Naoyuki Sakumichi
    • 03-5841-1899
  • 石川 昇平 助教 Shohei Ishikawa
    • 03-5841-1899
  • 岩永 康秀 特任助教 Yasuhide Iwanaga
    • 03-5841-1899

最近の発表論文

研究テーマ

ハイドロゲル(以下、ゲルと省略)は、大量の水を含んだ物質であり、ソフトコンタクトレンズやゼリー、豆腐などが挙げられる。典型的に、その重量の半分以上が水であるにもかかわらず、ゲルは固体である。すなわち、その組成の大部分が液体であるにもかかわらず、全体としては固体である点がユニークである。
私たちの体も30–40%の水と高分子の網目からなるゲルであり、その類似性のために、ゲルはバイオマテリアルとして優れた特性を示す。また、海洋で用いられるプラスチックを、含水率50%の水を含むゲルで代替できたとすると、海洋流出する高分子の量を半分にすることができる。このように、水を多く含むこと自体がメリットである用途において、ゲルは極めて有望な材料になりうる。

ゲルの科学を拓く:

ゲルの大部分が水であることから、固体としての特性は、水以外の「残りの成分」が担っていることになる。それは、高分子の三次元網目構造である。よって、ゲルから材料を構築する時に最も重要なことは、網目構造の「カタチ」を精密に制御することである。私たちは、世界標準となる均一なゲル(Tetra Gel)を開発し、ゲルの新しい性質を世界に先駆けて次々に明らかにしてきている。近年では、負のエネルギー弾性や浸透圧の普遍的状態方程式など、ゲルの常識を覆す重要な発見をした。また、網目構造の精密な制御によって、30倍以上も伸びるゲルや、靭帯に匹敵する力学特性を持つゲルの開発にも成功している。

新しいバイオ高分子を創る:

ポリペプチドは、アミノ酸配列と構築される高次構造によって様々な機能を発現し、酵素から構造タンパク質まで幅広い物性や機能を示す材料である。私たちは、規則的な配列を持つポリペプチドをベースとした新規バイオマテリアルや環境循環型材料への応用を見据え、機械学習を用いた合目的的な分子構造予測や反復配列を効率的に合成する酵素合成により、新規高分子材料を合理的に設計・合成を行っている。

ゲルで医療を変える:

私たちは、これまでに、人工硝子体や止血剤、癒着防止剤など、臨床医との共同でさまざまな医療用ゲルを開発した。そのためには、「適切な部位で、適切なタイミングでゲルを作り」、「ゲルに所望の物理特性を与え」、「治療を終えた後にはゲルを分解させる」ことが重要である。臨床医へのヒアリングを元にした、ゲル科学を基盤とする合目的的な材料設計により、医療用ゲルの開発を目指す。研究室発のベンチャーと連携し、社会実装までの一気通貫した材料開発をおこなう。