研究室紹介

池内研究室

  • 大学院工学系研究科
研究分野
分子細胞工学
キーワード
神経組織工学、幹細胞分化、タンパク質合成制御、神経形態
URL
https://www.bmce.iis.u-tokyo.ac.jp/

MEMBERS

  • 池内 与志穂 准教授 Yoshiho Ikeuchi
    • 03-5452-6330

最近の発表論文

研究テーマ

「体の外で脳を真似た神経回路を作ったら、脳のような機能を持つのでしょうか?」この問いに挑戦することで、脳の仕組みを理解することを目指しています。脳内の領域間の「つながり」が脳の機能にとって重要である事に着目し、これを体外で再現する手法を開発してきました。分子生物学・生化学的や電気生理学的な解析と組み合わせることにより、脳機能の普遍的な原理を分子・細胞・組織・機能のレベルで横断的に理解することを目指しています。

体外で脳のような神経組織をつくる:

神経科学の新しいアプローチとして、ヒトiPS細胞などの幹細胞から脳を真似た組織(脳オルガノイド)を作る研究が急速に発展しています。人工的に作った神経組織に機能を持たせることができれば、脳が働く仕組みの理解が深まり、脳を超えるAIを生み出す原動力になるでしょう。神経回路の異常が精神疾患などの脳の病気を引き起こす仕組みも調べられるようになります。本研究室では、脳内の領域間の「つながり」が脳の機能にとって重要である事に着目し、脳オルガノイドをつなぎ合わせた神経回路組織「コネクトイド」を作る独自手法を開発しています。コネクトイドは活発かつ複雑に活動し、外部刺激に応じた反応を示します。神経組織を効率的にトレーニングするシステムを構築し、最終的には、神経組織が自発的に「知能」と呼びうるような高次機能を持つようにすることを目指しています。

神経細胞内のタンパク質合成の調節を理解する:

神経細胞は、活動に応じて柔軟に応答し、新しいタンパク質を作り出します。タンパク質合成(翻訳)の的確かつ定量的な制御が、神経を神経らしくしている根源の一つです。この仕組みを理解するために、私たちは脳オルガノイドの翻訳制御を研究しています。人工の神経組織は生体内の神経と比べて厳密かつ正確な制御が可能な上、目的細胞の純度が高いサンプルを得ることができるなどの利点があります。軸索内の翻訳制御の解析も行うことができます。人工の神経組織において翻訳制御を明らかにした後は、生体でその機構や機能を確かめ、その理解を深めます。