研究室紹介

坪山研究室

  • 大学院工学系研究科
研究分野
生体分子設計工学
キーワード
人工タンパク質、大規模測定法、機械学習、深層学習
URL
https://bio-design-eng.iis.u-tokyo.ac.jp/

MEMBERS

  • 坪山 幸太郎 講師 Kotaro Tsuboyama
    • 03-5452-6333

最近の発表論文

研究テーマ

タンパク質は20種類のアミノ酸からなる多量体であり、その多様性ゆえに多彩な機能をもたせることができます。一方で、その多様性のために、タンパク質に関する基本法則をきちんと理解することなく、合理的に人工タンパク質 ("新奇"タンパク質; De novo protein) を設計することは困難です。そこで、大規模解析法と深層学習をはじめとする機械学習とを組み合わせることで、タンパク質の基本法則の解析と人工タンパク質の設計を繰り返します。この繰り返しにより、タンパク質の複雑な基本法則を解明するとともに、合理的な人工タンパク質の設計法の確立を目指します。

タンパク質の基本法則を理解する:

「タンパク質のアミノ酸配列は構造を決め、その構造が機能を決定する」というAnfinsenのドグマというタンパク質の原理原則が50年前に提案されました。この法則は生物学では常識ですが、アミノ酸配列から、タンパク質の構造や特徴、更にその機能を正確に予測することは、この原理の提唱から50年たった今でも困難です。しかし、近年の情報科学の急速な発展と今まで蓄積されてきた膨大なデータの組み合わせにより、タンパク質構造の正確な予測が可能になりつつあります。同様の戦略をタンパク質のその他の特徴へと応用するため、その特徴に関する膨大なデータを取得し、更にそのデータを利用して深層学習モデルを構築します。これにより、タンパク質の特徴や機能の正確な予測、更にはタンパク質の基本法則の正確な理解を目指します。

タンパク質を合理的に設計する:

ありうるタンパク質の種類は膨大ですが、生物が利用しているタンパク質の数はおおよそ10の12乗程度であり、生物はタンパク質がもつ潜在力を活かしきれてはいません。タンパク質を最大限に活かすため、タンパク質を人工的に設計することが試みられています。実際に、蛍光や発光などの機能を持つ人工タンパク質や、新型コロナウイルスの感染を強力に抑制可能な人工タンパク質も設計されています。しかし、タンパク質の基本法則の理解が未だに不完全なために、人工タンパク質の設計は運任せとなっているのが現状です。タンパク質の基本法則の解明結果を活かすことで、全く"新奇"のタンパク質を「合理的に」設計することを目標とします。