談話会

2012年度 第2回談話会

日時:2013年2月2日(土) 15:00 – 18:00
場所:東京大学工学部5号館1階52号教室 (地図


報告:化学生命工学専攻 修士課程2年 芳賀智亮 


 2013年2月2日(土),本郷キャンパス工学部5号館52号室にて化学生命工学専攻2012年度第2回談話会が開催され,若手教員と学生を含む53名が参加しました。
 今回のセミナーは,岡山大学大学院環境生命科学研究科から島内寿徳准教授を,名古屋大学物質科学国際研究センターから斉藤尚平助教を招いて行われました。本専攻からは大黒耕助教,平川秀彦助教が講演を行いました。島内准教授には,「異相界面におけるタンパク質の秩序構造制御 ~アミロイド形成を例に~」というタイトルで講演をしていただきました。リポソーム膜界面の基礎物性の解明および秩序形成の制御の研究をもとに,リポソーム界面の秩序形成が分子認識に関わっていることを発見され,分離工学の新たな地平を開拓されていました。斉藤助教には,「π電子系を拡げる・並べる・曲げる・動かす」というタイトルで講演をしていただきました。π電子系の2次元,3次元への拡張を独創的な視点から研究されており,特にπ電子系をフレキシブルに動かすことで構造変化とともに物性を変えるという,先駆的な研究が印象的でした。大黒助教は「生体高分子表面に接着する分子糊の開拓」というタイトルで講演を行いました。グアニジウム基とオキシアニオンの相互作用を介して生体高分子表面に接着するデンドリマーを開発し,それを用いてタンパク質同士の可逆的・不可逆的接着や光応答的な膜構造の不安定化など,非常に興味深い展開がなされていました。平川助教は,「タンパク質で酵素をつなげる」というタイトルで講演を行いました。酵素のボトムアップ的な複合化を目指して,DNAスライディングクランプを足場とした多酵素複合体を開発しており,今後この酵素複合化の手法が様々な多酵素系に応用されることが期待されました。
 参加者は皆,興味の強い分野の最前線の研究であるだけに,熱心に講演を聞いていました。参加者自身の研究と講演者の研究を結び付けて,より発展した研究を考えるきっかけとなり,非常に有意義なセミナーでした。


    15:00 開会

 

15:05 - 15:45
平川 秀彦 助教 (東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻)
「タンパク質で酵素をつなげる」

 

15:45 - 16:25
大黒 耕 助教 (東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻)
「生体高分子表面に接着する分子糊の開拓」

 

16:25 - 16:40 休憩

 

16:40 - 17:20
島内 寿徳 准教授 (岡山大学大学院環境生命科学研究科)
「異相界面におけるタンパク質の秩序構造制御 ~アミロイド形成を例に~」

 

17:20 - 18:00
斉藤 尚平 助教 (名古屋大学物質科学国際研究センター)
「π電子系を拡げる・並べる・曲げる・動かす」

 


問い合わせ先:平川秀彦(
Tel: 03-5841-7356